家族が安楽死を望むとき/家族死生観③

 
NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」を見ました。
“私が私であるうちに死にたい”という彼女の言葉がとても重かったです。

 
私の父は、まだ現役で働いているときに余命一か月の宣告を受けました。
15年ほど前のことです。
何となく胸騒ぎがして、ふいに病院に寄ってみました。
横に座っていると、しばらくして父がボソッと話し始めました。

 
「安楽死ってあるやろ。あれ、あかんのかな?もう、治らんのわかってて生きてるの、辛くてな。。」

 
私はどう返事していいか戸惑いました。
法律の問題じゃない、父が納得できるようにしてあげたい、
と思ったけど何を言えばいいかわからなくて。

 
「パパ、私は病院で亡くなる人を大勢看てるけど、どの人も最期はみんな苦しむねん。。苦しまないで亡くなる人はいないわ。きっと最期に越えなあかん苦しみがあるのやと思う。それを避けたらおじいちゃんやおばあちゃんのところに行かれへんのちゃうかな…」

 
「そうか、看護師のおまえがそう言うんやったら、そうなんやろな。しゃーないな、覚悟するしかないな。」

 

 
私は最期になんて厳しい言葉を言ったのだろう、と今になって思います。
最期に苦しむのは病院で抗っているからで、そうでなければ最期が苦しみとは限らない、と今なら思えます。

 
それから父は二度と安楽死を言わなかったし、私は父の代弁者になることを決め、苦しまないよう最善を尽くしました。
ドルミカムを24時間投与しましたが、人間の覚醒力はすごくて、一日20アンプル以上使って眠らせました。
それでも覚醒してしまうようになったとき、深夜できたが担当医に連絡してもらいました。
そして「モルヒネ使ってください!」とお願いしました。

 
「もう二度とお父さんと意思疎通できませんよ」と言われました。
だけど苦しい日が一日延びたところで父が喜ぶはずがないと、迷いはなかったです。
苦しそうな様子を見ている方が辛くて「いいです!早く!」って言ったのを覚えています。

 

 
動画の彼女の言葉。
「自分で死を選べるということは、どうやって生きるかということを選択することと、同じくらい大事なこと」と言ってました。
「しゃーないな、覚悟するしかないな」という父の言葉と対局のように感じました。

 
そして5か月後、残された家族の様子がありました。
「スイスまで付き添って行って、一緒にいてよかった」と切なそうに笑っていたのが印象に残りました。
私も最期は、父の病室に2週間泊まり込んでとことん付き合ったので、これでよかったんだと自分に言い聞かせることができています。

 
死を選ぶのは自分だけど、その理由のほとんどは家族に迷惑をかけないため。
人の世話になって生きていてもいいんだ、と受け入れることは本当に難しいと思いました。
自分と家族ー
この2つの狭間で揺れ続けるのが人間の最期なのでしょうか。

 

 
「家族死生観」
残された家族が生きていくために

 

 

 

 

 

 
山咲凛子 1967年生まれ
Wellnessナース/NLPマスタートレーナー
看護師22年、コミュニケーションスクール主任講師10年。女性が自分らしく生きるための心理サポートや起業支援を行ない、現在はその経験を活かして、健康/予防を目的に活動中。卒業生約400名、セラピストトレーナー150名育成、セッション数4000件から導き出した独自のセオリーを持つ。ナースサミット主催、Wellnessナースビジネスプログラム主宰。
主な情報は8年前から書き綴っている、看護師向け無料メルマガ【心と身体のStudyMail】で配信しています。

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